「聞く」より「聴く」のが大事

「聞く」と「聴く」って、同じ「きく」でもちょっと違うよな。
「聞く」は、普通に話を聞くこと。「聴く」は、相手の話に耳を傾けて、ちゃんと受け止めること。
そう考えると、相談事は「聞く」より「聴く」のほうが大事なんじゃないかと思う。

よろず相談をやっている時、自分の経験や知識を一生懸命話して、解決策を教えようとする人もいた。
もちろん、それも大切だと思う。自分が経験してきたことや、知っていることが、相手の役に立つこともあるからね。

でも、その前にもっと大事なことがあるんじゃないか。

それは、相手の話をじっくり聴くこと。

そして、できるだけ相手に喋ってもらうこと。
人って、自分のことを話しているうちに、頭の中が整理されてくることがある。
最初は「どうしたらいいかわからない」と言っていたのに、話しているうちに、
「ああ、自分はこう思っていたんだ」
とか、
「じゃあ、こうしてみようかな」
と、自分で答えを見つけることもある。
実は答えはその人の中にあることも多いんだな。

だから、相談相手が必ずしも豊富な知識や経験を持っている必要はないのかもしれない。
むしろ、知識や経験がありすぎると、
「それならこうすればいい」「自分のときはこうだった」
と、相手の話を最後まで聴かずに、自分の経験に当てはめてしまうこともある。

何も知らなければ、
「それでどうしたの?」「そのとき、どう思った?」「もう少し聞かせて」
と、相手の話を聴くことができる。

もちろん、法律や税金、医療など、専門的な知識が必要な相談は別だ。
そういう場合は、きちんとした専門家につなぐことも必要になるし、その振り分けも大事だ。

でも、人生の悩みとか、人間関係とか、どうしたらいいのかわからないというような相談なら、答えを教えることより、まず話を聴くことのほうが大事な場合もある。

じっくり聴くって、案外難しい。
人の話を聞きながらも、
「自分ならこう言うな」「それならこうすればいいのに」
と、つい自分の答えを考えてしまうからだ。

だから本当に「聴く」というのは、ただ黙っていることじゃない。
相手の話を途中で奪わず、急いで結論を出さず、その人が言いたいことを最後まで聴くこと。

そして、ときには何も解決してあげなくてもいい。
ただ話を聴いてもらっただけで、気持ちがすっきりすることもある。

相談相手に必要なのは、何でも知っていることではなくて、その人の話をちゃんと聴けることなのかもしれない。
「聞く」と「聴く」。
たった一文字の違いだけど、相談事では、この違いはけっこう大きいんじゃないかな。

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