感動を横取りする「AIフェイク動画」

sep. 3rd thu. 2026

感動を横取りする「AIフェイク動画」で、素直に驚けなくなった面倒くさい世の中になったものだ。

最近、X(旧Twitter)やショート動画で「犬が溝からひよこを助ける感動動画」や「見たこともない極彩色の美しい鳥が人間に抱きつく動画」みたいなものがやたらと流れてくる。

パッと見は「うわ、すごい!」「ほっこりするなぁ」と思わされるんだけど、ちょっと冷静に観察してみると、どれもこれも生成AIで作られた架空のフェイク映像(いわゆるAI Slop)ばかりだ。

毛並みや水滴の動きがヌルヌルと変形していたり、自然界には存在しない原色バリバリの派手な羽を持っていたり。海外のインプレッション稼ぎアカウントが、再生数や拡散を狙ってAIで大量生産したコンテンツがネット上に溢れかえっている。

でもさ、これって本当に面倒くさい世の中になったと思わないだろうか。

ひと昔前なら、面白い映像や感動的なシーンを見かけたら、素直に「世の中にはこんな奇跡みたいな瞬間があるんだ」「動物って健気だな」と心を動かされることができた。

それが今や、何か目にするたびに「これは本物か?」「AIの合成じゃないか?」「また再生数稼ぎのヤラセか?」と、いちいちワンクッション置いて疑ってかからなきゃいけない。脳の警戒センサーをフル稼働させながらネットを見るハメになり、ただタイムラインを眺めているだけでも妙に疲れてしまう。

技術が進化して精巧でリアルな映像が簡単に作れるようになった反面、世の中はウソやまやかしで溢れかえり、人間の素直な「驚き」や「感動」という感情がノイズで邪魔されていく。

便利で刺激的なコンテンツは増えたけれど、その裏で「本物を見極める手間」ばかりがどんどん増えていく。なんとも味気なくて、なんだか少し寂しい時代になってしまったなと感じている。

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