植村直己の冒険と記録


sep.7th mon. 2026

植村直己の『青春を山に賭けて』をようやく読み切った。
最後の最後、彼が残した「冒険に必要な資質とは?」という問いに対する答え。

それがまさかの「臆病者であることです」だった。

あれだけの偉業を成し遂げて、傍から見れば無謀とも思える挑戦を繰り返してきた男の口から出た言葉としては、かなり意外。でも、ページを閉じたあとにじわじわと「なるほどな」と腹に落ちるものがあった。

一歩間違えれば即アウトの極限状態だからこそ、自分の力を過信せず、徹底的にリスクを怖がって慎重に準備する。そして危ないと思ったら引き返す。命を持ち帰るために一番必要だったのが、その「臆病さ」だったわけだ。

この本を読んでいると、単なるドラマチックな「読み物」というより、現場の空気をそのまま閉じ込めたような生々しい「記録」そのものだと感じる。そして何より、「記録を残すこと」がいかに尊く、人生において大きな意味を持つかを痛感させられた。

ICレコーダーどころか電子機器すらない時代。氷点下の極寒の中、インクすら凍りつく世界で手袋を外し、凍える手で鉛筆を握ってノートに細かくメモを残し続けた。カメラだって2台持ち歩いていたんだから、ただでさえ重い装備に加えて予備のフィルムや機材も含め、背負う荷物の量は相当なものだったはず。

そこまでして現場の記憶や感情を文字や写真として泥臭く残し続けたからこそ、何十年経った今でもこうして彼の息遣いや情熱がそのまま手にとるように伝わってくる。自分の足跡をしっかりと「記録」として刻む作業は、冒険そのものと同じくらい価値のある宝箱のような営みだったんだろう。

それにしても、それだけ冷静で綿密に記録を残す人間なのに、やっぱり理解しがたい部分はある。

自分も山を歩くし、西表島のジャングル縦断や硫黄鳥島みたいな過酷な場所にも足を運んできたから、自然の中に飛び込む面白さはよくわかる。でも、あそこまでの極寒の世界、時に冷凍庫みたいな場所に自ら進んでいく感覚だけは、どうしても理解を超える。

南国の豊かな自然や生の躍動感とは真逆の、色も音も何もない「白と冷気だけの極限」。そんな場所になぜそこまで惹きつけられたのか。

結局のところ、彼は世界屈指の冒険家であると同時に、やっぱりどこか突き抜けて「変わった人」だったんだろう。

「臆病者」と言い切り、泥臭く記録を紡ぎながら、なおも極寒の地に挑み続けた男の矛盾と純粋さ。読み終えた今も、なんとも言えない不思議な余韻が残っている。

備考:【熱談プレイバック】稀代の冒険家・植村直己
https://engei-yanbe.com/archives/10283

高校の時だったっけな? 彼が学校に来て体育館でだったか講演したことを覚えている。
確か遠くにしか顔は見なかったと思うけど、小柄ながら明るい人だったよなぁ。

植村直己の名言6選
1.始まるのを待ってはいけない。 …
2.私は意志が弱い。 …
必ず壁はあるんです。 …
不安な時は小さなことでもいい、今できる行動を起こすこと。
5.みんな、それぞれが、何か新しいことをやる、それはすべて冒険だと、僕は思うんです。
6.あきらめないこと、どんなときでも決してあきらめないこと。

青春を山に賭けて植村直己物語 [DVD]

植村直己物語 [DVD]は西田敏行主演で、イメージが違うなと思ったけど、さすがんいい役者だ。いい演技だったと思う。これも見るといいな。

関連サイト:FacebookTwitterおきぐるFacebookTwitterおきぐるokinawaweb南風原タウン情報チーズ教室Okinawaweb Expressmixiグシクムイ ブログ