ジャングリア173億円赤字に思う-雨」と「夜」を味方に変える逆転の発想


sep.27th sun.2026

ジャングリア沖縄の親会社が初決算で約173億円の最終赤字を計上し、運営会社単体でも89億円規模の赤字になったというニュースを見た。年間来場者が想定150万人に対して100万人程度にとどまったことや、初期の減価償却費が重くのしかかっているのが要因らしい。自分はまだ行ったことがないし、正直「どうしても行きたい」とまでは思っていなかったが、地元の大型プロジェクトだけに「この先大丈夫なのか?」と心配になる数字だ。

ジャングリア親会社173億円赤字 評判は先に壊れ、帳簿が後から追いついた

ただ、テーマパーク事業はかつてのハウステンボスやUSJがそうだったように、初年度の大赤字からどうコンテンツをテコ入れするかが勝負どころでもある。

北部(今帰仁・名護)というアクセスの壁や「1回行けば満足」になりがちな現状を突破するために、一つ大きな鍵になるんじゃないかと思うアプローチがある。

それが、テーマパークにとって最大のアラである「雨」と「夜」を完全に味方につけるという逆転の発想だ

【ハウステンボスに学ぶ「夜の価値化」】
長年赤字に苦しんでいたハウステンボスが一気にV字回復した最大のきっかけは、日本最大級のイルミネーションを導入した「夜の空間革命」だった。それまで「昼間散策して夕方に帰る場所」だった場所に、「夜の方が圧倒的にきれいだから泊まりで行く」という新しい理由を作ったわけだ。

だが、ジャングリアで同じように人工的なLEDをピカピカ光らせるのは絶対に違う。やんばるという世界自然遺産の膝元でそれをやれば、動植物の生態系を狂わせる「光害」として猛批判を浴びるし、せっかくの自然の価値を自分で踏みにじることになる。

【人工物ではなく「暗闇と五感」をエンターテインメントにする】
いまの時代、どこに行っても夜は明るいのが当たり前だ。だからこそ、無駄な街灯や派手な演出を削ぎ落とした「本物の夜の暗さ」と「ほのかな灯り」は、都会では絶対に買えない贅沢になる。

  • 手元を照らすランプの灯りと、暗闇に浮かび上がる亜熱帯植物のシルエット

  • 無駄な照明を落として見上げる、やんばるの「本物の満天の星空」

  • 視覚情報が減るからこそ研ぎ澄まされる、夜の森の音や濡れた土の匂い

「明るく照らして見せる」のではなく、「暗くすることで五感を呼び覚ます」。これなら自然への負荷を抑えつつ、昼間とは全く違う幻想的な体験価値を作れる。

【「雨の日に来れてラッキー」と思わせたら勝ち】
さらに言えば、「雨」も最強のコンテンツになり得る。
雨の日の緑は、晴れの日よりも圧倒的に色が深く、空気の質もガラッと変わる。観光客にとって雨は最大のガッカリ要素だが、それを「当たり日」に引っくり返す仕掛けがあれば強い。

  • 雨に濡れることで鮮やかに発光・変色するような自然演出

  • 雨音や水滴の音を五感で味わうサウンドツアー

  • 雨の日限定のプレミアムなレインウェアや、雨上がりの温かいスープ

「雨が降って残念」ではなく、「今日雨が降ってくれて本当にラッキーだった!」と思わせることができれば、天候に左右されない無敵のネイチャーリゾートになる。

【パークへの提案:足し算ではなく「引き算」の運営へ】
この「雨×夜×暗闇」を軸にした世界観は、経営面(コスト構造)にとっても大きなメリットがある。

一般的なテーマパークは、大勢のスタッフを配置して明るい接客をする「人件費の塊」になりがちだ。しかし、「暗闇と静寂を楽しむ空間」であれば、過剰な接客や大声のアナウンスはむしろ邪魔になる。

気配を殺して安全を見守る最小限のネイチャーガイドがいれば十分だし、派手な機材を動かす電気代もかからない。

「コスト削減のために人手を減らす」と惨めに見えるが、「最高の静寂と自然を体験してもらうために、あえて人工物や人目を削ぎ落とす」というストーリーがあれば、コストカットがそのまま「ブランド価値の向上」に直結する。

173億円という巨額の赤字を叩き出した今だからこそ、設備や人を投入し続ける「足し算の経営」から、自然の魅力を引き出す「引き算の経営」へ舵を切る。

「晴れた日のジャングリア」だけでなく、「雨の夜のジャングリアが一番ヤバい」という口コミが広がるような、沖縄の自然と共生する唯一無二の場所になってくれることを期待したい。

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