交通事故の理不尽と「保険はケチるな」

oct.22nd thu. 2026

交通事故の理不尽と「保険はケチるな」

東京・三軒茶屋の国道246号で起こった悲惨な事故のニュースを目にした。

軽トラックと車に挟まれ30代女性が両足切断 意識は回復 40代男を逮捕 東京・世田谷区三軒茶屋

【両足切断の重傷】東京・三軒茶屋で“荷おろし中”の軽トラック女性

荷下ろし中だった軽トラックの女性が乗用車にはねられ、両足切断という極めて重い障害を負わされたという。目が覚めたとき、自分の足がない現実を知ったときのショックや絶望感を思うと、なんとも気の毒で言葉もない。

今は義足の技術やロボティクスが格段に進歩しているのが、せめてもの救いであってほしいと願うばかりだ。「

加害者の40代男は過失運転致傷の疑いで逮捕されたが、現行の日本の法律では、どんなに被害者の人生を一瞬で狂わせても「過失(うっかり)」の枠組みを出ない限り、刑罰の上限は最高でも7年。初犯や反省、示談の有無によっては懲役2〜3年程度で済んでしまうのが冷酷な現実だ。

いくら刑務所に長く入ってもらったところで、失われた足が元に戻るわけではない。

だからこそ、現実問題として最も重要なのは「事故後の長い人生を支える補償がしっかりと確保されるかどうか」になる。

加害者の保険は当てにならないという現実

加害者が対人無制限の任意保険に入っていれば、最新の義足の費用や一生分のメンテナンス代、減ってしまった将来の収入(逸失利益)などはカバーされる。しかし、世の中には信じられないことに「保険料を払わないことで儲けようとする」ような不誠実な保険会社や、そもそも任意保険にすら入っていない無保険ドライバーがゴロゴロいる。

実は自分も2009年、車にはねられて左足を複雑骨折し、1年半も松葉杖生活を送った経験がある。
そのとき相手が加入していたのは、まさに「支払いを渋る・払わない」ことで有名な保険会社だった。怪我の激痛や生活への不安と戦っている最中に、相手の保険会社から冷酷な対応をされたら精神的にもひとたまりもない。

そんな絶望的な状況で自分を救ってくれたのは、自分が加入していた自動車保険の特約(人身傷害補償など)だった。

自分の保険会社から迅速に正当な補償金が支払われ、相手の悪徳保険会社との泥沼の交渉も、すべて自分の保険会社が引き受けてくれた(代位求償)。おかげで金銭的な心配をすることなく、治療と復帰に専念することができたのだ。

私が加入していたのは東京海上だったが、担当者とは40年以上の付き合いになり、人生の節目や土壇場でずっと自分を守り続けてくれた(最近亡くなられたのが本当に悔やまれる)。東京海上も過去の不祥事を猛省し、契約者や被害者救済を第一にする体質へ大きく変わった歴史があるからこそ、現場のプロとしてあれほど頼もしかったのだろう。

保険は「自衛の壁」であり「車に乗る最低限のマナー」

保険というのは、保険会社が集金や査定を行っているものの、本質は加入者同士がお金を出し合う「相互扶助(助け合い)」の仕組みだ。使わずに済むならそれに越したことはないが、いざという時の防波堤をケチってはいけない。

  1. 加害者になったときのため

一瞬の不注意で他人の人生を奪ってしまったとき、無制限の保険に入っていなければ、被害者の未来を潰すだけでなく自分や家族の人生も一瞬で破滅する。任意保険に入るのは、ドライバーとして最低限の責任でありマナーだ。

  1. 被害者になったときのため

どんなに安全運転をしていても、もらい事故や悪質な不払い保険会社、無保険車に当たるリスクは防げない。だからこそ、自分の保険(人身傷害や弁護士費用特約)をケチらず手厚く張っておくことだけが、唯一の確実な「自衛策」になる。

「保険はケチるな」。

これは、1年半の松葉杖生活と不払いリスクの危機をくぐり抜け、信頼できる保険に命拾いした自分の実体験から言える、車社会を生きていく上での確固たる結論だ。

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